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地上デジタル放送について(後編)

2011.07.11

システムソリューション部の田代です。

前回の続きです。

今回は電波の有効利用になぜ繋がるか、ということを説明することですが、それを理解する上で、テレビの選局の仕組みについて説明します。

まずは以下の表をご覧ください。

上記は関東圏と関西圏の主要放送局のデジタル放送とアナログ放送の周波数のチャンネルです。
一般的に物理CHと呼ばれています、関東は東京タワー、関西は生駒山から発信されているチャンネルです。

この表見て気付くことはありませんでしょうか?

ぱっと見て。
デジタルチャンネルは仲良く数字が並んでいるけど、一方アナログチャンネルは3~4の間以外とびとびになっていることに気付くと思います。

アナログでとびとびになっている理由。それは簡単で、混信対策です。
アナログでは受信した電波をそのまま出力しないといけないので、混信した場合、そのままノイズとして出力しなければなりません。

なので、アナログ放送は隣通しの周波数が基本的には使えません。
※注:アナログ放送の1~3はVHF Lowバンド、4~12はVHF Hiバンドであり
   そもそも周波数が全然違うので、3CHと4CHの周波数は大きく離れています。

一方デジタル放送ではチャンネルが続いています。
それどころか地域によっては物理CHが被ってしまっているところもあります。
なぜ大丈夫なのでしょうか?

その前にもう1点気付くことがあると思います。

それはデジタル放送では、新聞に記載されていたり、リモコン等で選局して表示されるチャンネルと全然違うことです。アナログ放送ではこれが一致しています。

一見何気なく見えますが、これが結構重要です。
これはどういうことかと言いますと、実はデジタル放送では、実際に放送波の中に放送局を特定にできるデータを持っています。

上記はNHK大阪の例です。
nidとはNetwork IDのことで、放送局がどのネットワークに所属しているかを示します。
tsidとはTransport Stream IDのことで、要は放送波の所属先を示しています。
尚、地上デジタル放送の場合、放送局ごとに放送波を送出している(=放送局ごとにネットワークを構築している)ので、nidとtsidは一致します。
※BS放送の場合、お空の上の衛星から全放送局の放送波を送出しているので
 ネットワークIDは固定値(0x0004)、tsidが放送局ごとに異なることになります。
sidとはservice IDのことで、放送サービスを識別するためのIDです。
NHK大阪の場合、デジタル放送の011と012とワンセグ放送の611にそれぞれ0xa000、0xa001、0xa180が振られています。このIDによって振られるチャンネルを論理CHと呼びます。

さらにこの中にリモコンIDというデータもあり、デジタルテレビではこのIDをリモコンの1~12にプリセットするようになっています。新聞等にのっているチャンネルは普通このリモコンIDが書かれています。これらを覚えておくことで、ユーザーに論理CHのみを意識させ、物理CHを意識させないようになっています。

これらの情報が放送波に載っているため、選局した際に別の放送局のデータが混信してきても、選局したい関係ない情報として捨てることが出来るため、隣通しにしても問題ないのです。
なので、電波利用の効率性が上げることができ、結果地上デジタル放送に完全移行することで放送波はUHF13~52のみの利用で済むようになり、VHFの1~12とUHFの53~62が空きます。
この空いた帯域で新サービスをやろうというのが狙いの一つであります。

それでは今説明したことが、どうやって実現されているかを最後に簡単ですが解説します。

今までの説明でお分かり頂けるように、放送波には映像や音声の他にも色々な情報がのっています。これらを同時に流すために地上デジタルMPEG2-TSという規格を使っています。(※tsidはこのTSが名前の由来です)MPEG2-TSではエンコードされた音声や映像等各データをさらに188byteの固定長のパケットに分割します。各パケットの最初の4byteにはこれがどのデータの何番目のデータですといったことが記述されていて残りの184byteが実データになります。

さて、選局するためにはまずどの放送局がどの周波数に流れているか知らないといけません。

デジタルテレビにはスキャン機能(メニューのチャンネル設定とかあります)というのがついていてこれを動かすと13CHから順に選局してゆき、上で説明した188byteのパケットたちが取れるかを調べます。

パケットが取れたら、まずはパケットのID(以下PIDとします)が0x0010のデータを取得します。
これはNIT(ネットワーク情報テーブル)というデータを意味し、この中にnidとtsidとsidやリモコンIDが書かれています。
これから物理CHと論理CHを関連付けたリストを作成します。

この後、リモコンで選局すると関連付けられた周波数を選局します。
選局後まずはPIDが0x0000のPAT(プログラムアソシエーションテーブル)という情報を取得します。
これには各サービスのPMT(プログラムマップテーブル)のPIDが書かれています。
この中から選局したいsidを探し、次にそこに書かれているPIDのPMTを取得します。PMTには映像や音声がどのPIDで流れているか、というのが書かれています。
そして最後に指定されたPIDを取得し、デコードして映像音声のデータを取得して選局完了となります。

尚、説明は省きますが、これ以外にもさまざまなPIDの情報が送出されており、これらによって番組表に表示するデータを取得したりもしています。

以上2回でざっとですが、地上デジタル放送のことを簡単にですが説明しました。
日頃使っている機器がこんな仕組みで動いているんだなぁ、といったことが頭に残って頂けたらうれしい限りです。